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特定調停のメリット・デメリット
借金、とりわけ多重債務問題を解決する手段のうち、裁判制度を利用して解決できるのが特定調停。利用した際のメリットとデメリットを説明しています。
特定調停のメリット
特定調停のメリットをまとめてみました。
長期の分割返済ができる
3年~5年間の分割返済ができるので、月々の負担を減らせます。また、借金当初からの金利を再計算することにより、借金額そのものが減額できることもあります。
さらに、いったん返済額が決まれば、その額に対する利息は原則発生しないので、安心です。
取立てが停止する
債務者を心理的に追い詰める取立てですが、特定調停の相手方である債権者からの取立ては、裁判所の通知により停止されます。
また、強制執行(差押え)がされそう、またはされている場合、裁判所に「民事執行停止の申立」を行うことで停止させることができます。
自分の生活を守れる
複数の債務のうち、どの債権者に対して特定調停を行うかを債務者側が選択できます。
例えば住宅ローンの支払いはそのままに、いわゆるサラ金業者のみを相手とすることで、自分の家を守ることができるのです。
また、破産手続きと違い、職業に関する制限もありません。自己破産を行うと、一定期間就くことができない職業がありますが、特定調停の場合には職業への規制がないため、自分の生活を守ることができるのです。
調停は非公開で行われ、官報に載ることもないので、他人に知られずに手続きを進められます。
費用が安い
他の債務整理手続きと比較して複雑ではないので、債務者自身が裁判所に申し立てれば、費用はほぼ必要経費だけです。
特定調停の裁判所に支払う費用だけなら、債権者1件当たりわずか930円(2020年4月現在)です。
特定調停のデメリット
特定調停のデメリットをまとめてみました。
債権者の協力が必要
調停は当事者間の交渉を、裁判所が間に立って行うものですから、相手側(債権者)が調停の席に着かなければどうしようもありません。
理由なく欠席した場合、一応50,000円以下の制裁金が科せられるのですが、実際に科せられることは、ほとんどありません。そのため、強制力的効果がないため、せっかく申し立てても空振りに終わるおそれがあるのです。
調停の結果は「債務名義」になる
たとえ話し合いであっても、裁判所の手続きで出された結論は「調停証書」という強制執行ができる債務名義となります。
つまり、証書に記載された返済行為がもし滞ると、即強制執行をかけられても文句は言えないということです。返済方法がをはっきりさせることで、すぐに強制執行が行われることもあります。
一度決めたことは、事情が変わった時に、ひっくり返すことができないのです。
全て自分で行わなければならない
費用を抑えられるのは、自分一人で必要書類や資料の収集、書類作成から出廷まで手続き全般を行うことが前提だからです。自分のためとはいえ、かなり骨の折れる作業をこなさなければなりません。
まとめ
特定調停は、メリット・デメリットの両方がある手続きといえるでしょう。
特定調停を利用に向いている人は、「3年間かければ返済可能な定期収入がある」「債権者が話し合いに応じてくれる」「費用を出来るだけ抑えて解決したい人」に向いている手続きといえるでしょう。