公開日: |更新日:
司法書士と弁護士で対応できる業務に違いはあるの?
借金(債務)が、払いきれない状態となった場合、解決方法の一つに個人再生(民事再生)があります。個人再生での解決を検討する際に、弁護士と司法書士のどちらに依頼した方が良いのか悩むことがあるかもしれません。
個人再生は、すべての債務をなかったことにする自己破産と違い、自分の債務を減額し、何年かに分けて借金を支払っていく方法です。自己破産とは違い、財産を手放す必要がないので、自分の持ち家を手放す必要はありません。
その間、例えば債権調査や書類を作成するなどの作業や、裁判所への出頭に、専門家の力を借りるとスムーズに手続きを済ませられるでしょう。ここでは個人再生における弁護士と司法書士ができる業務範囲の違いを説明します。
個人再生で必要な手続きの範囲に違いはある?
どちらも法律の専門家ではあるものの、できる業務の範囲に制限があります。
弁護士は生活におけるトラブルや事件についてアドバイスをはじめ、本人の代理人となり裁判における一切の手続きを行ってくれます。
一方、司法書士は「登記の専門家」と位置付けられています。弁護士は裁判所関連、司法書士は法務局関連の案件の仕事をしてくれるのです。
ただし、認定司法書士の肩書があれば、借金額に上限はありますが、代理人として裁判手続きができます。
また、個人再生をするには裁判所へ申立てをして、再生計画案を認めてもらう必要があります。
弁護士はすべての業務を行える
弁護士は、個人再生における裁判所手続きにかかわる全ての業務を代理人として行えます。
書類作成はもちろん、個人再生の手続きの中で時に必要となる、個人再生委員との面談や、裁判所での審尋(自分の意見や主張を陳述すること)も全て弁護士が本人の意見を取り入れつつ行ってくれます。
裁判所からの連絡もすべて弁護士に入りますので、日常生活を煩わされることがありません。
司法書士も個人再生の一部の業務が可能
債務整理に詳しい司法書士であれば、書類作成関連を任せられます。また、個人再生案件に関しては、司法書士は債務額の多少にかかわらず代理人となれるので、裁判所からの連絡は司法書士を経由して行われることも弁護士と同じです。
しかし、司法書士には裁判所での審尋、再生委員との面談に関する代理権限はなく、本人が出向かなければならないことが大きな違いです。個人再生委員は弁護士に依頼すれば不要ですが、司法書士の場合は別途裁判所が選出します。
ちなみに、東京地方裁判所は必要です。もっとも、審尋は東京地裁では必ず行われるものの、他の管轄では必須とは限らず、行われたとしても司法書士の同席を認めてくれます。ただし司法書士が本人に代わりに答えることはできません。個人再生委員も、東京地裁以外では不要とされます。
これらの面接は、事前にシミュレーションを司法書士しておけば審尋への不安も軽減されるので、弁護士との実質の違いは「裁判所に出向く手間」だけもしれません。しかし、裁判所へ出向き面接を受けるのは、時間的なものだけでなく、心理的な負担も伴うものなので、この「手間」をどう捉えるかは個々の事情で変わってくるでしょう。
支払う費用は司法書士と弁護士で変わらない場合もある
個人再生を弁護士と司法書士のどちらに依頼するかについては費用も大切なポイント。個人再生委員が必要とされるか否かが問題です。
なぜなら、司法書士の方が一見安そうでも、個人再生委員の費用は別に25万円ほどかかるので、最終的にあまり弁護士と変わらないということがあり得るからです。
自分の事情はもちろん、管轄の裁判所を確かめて、どちらに依頼するかを検討することをおすすめします。