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個人再生後に自己破産手続きへの移行は可能?
「個人再生を申し立てたが、計画を履行できない…」、このような場合、自己破産への移行は可能なのでしょうか?調査しています。
個人再生から自己破産への移行についてのエトセトラ
まず結論から言ってしまうと、個人再生から自己破産へ移行することは、不可能ではありません。しかし、以下の条件があることも知っておく必要があります。
- 個人再生から自己破産に移行すると、負債額がスタート時に戻ってしまう。
- 債権者から「再生計画の取り消し」が求められていなくてはならない。
自己破産とは異なり、個人再生には「住宅ローンに関する特則の対象となる場合がある」、「所有財産相応の返済は求められるが、財産そのものを取り上げられることはない」といったメリットがあります。
自己破産へと移行した場合、これらの特権はなくなり、めぼしい財産はすべて処分されてしまうほか、「これまで再生計画に基づいて返済してきた」という実績もゼロとなってしまうことを知っておきましょう。
また本人が個人再生から自己破産への移行を望んでいたとしても、債権者から「再生計画の取り消し」について申し立てがない場合、実現は難しくなります。
どうしても返済が難しいという事情がある場合
個人再生計画に従って、3年間返済を続ける意思があったにも関わらず、不慮の事故やリストラなどによって返済ができなくなってしまった場合、どうすれば良いのでしょうか。
- 病気やケガがかなり重く、返済が絶望的となった場合…
債権者からの「再生計画取り消しの申し立て」を経て、裁判所に自己破産を申し立てる。 - 一定期間での回復や再就職が可能な場合…
民事再生法により、個人再生計画の延長が2年間認められる。
上記のように、個人再生の期間延長は可能。自己破産はあくまで最終手段と考えておく方が良いでしょう。
ハードシップ免責についても知っておこう
「個人再生の申し立てが認められてから、頑張って返済を続けてきたにも関わらず、事情があって息切れが…」といったケースにも、救いの手が差し伸べられる場合があります。それが『ハードシップ免責』。認可されれば残債は免除になりますが、以下の要件を満たしている必要があります。
- 返済額の4分の3を、すでに支払っていること。
- 病気や事故など、債務者に責任のない事情があること。
- ハードシップ免責の認定が、債権者の一般的な利益に反しないこと。
とは言え、ハードシップ免責の認可が下りることは極めて稀。大都市の裁判所でも年間数件程度と言われています。安易に頼るのは禁物と考えておきましょう。